わかりやすい日本の神様のお話~イザナギとイザナミ~
日本神話を勉強してるんですが、神様がたくさんいて覚えるのが大変です
日本には数えきれないくらい神様がいるからのぉ、巫女だからといって無理に全部覚える必要はない。ところで多くの神々は、たった二柱の神様が産んだというのは知っているか?
たった二柱の神様からですか? ぜひ教えてください
今回は日本初の夫婦であり、多くの神様の祖先となった伊邪那岐(イザナギノカミ)と伊邪那美(イザナミノカミ)について、お話していきます。
古事記や日本書紀に書かれている日本神話では、最初の地上には何もありませんでした。
そこに天からという男女の神様が下りてきます。それが、イザナギとイザナミでした。
イザナギとイザナミの名前には、「イザナ」という言葉が共通して含まれており、「誘う」という意味があります。
つまり、イザナギは「誘う男」、イザナミは「誘う女」という意味があり、お互いに惹かれあう神様を表していると言われています。
イザナギとイザナミのご利益
多くの神々を産んだから、子供や出産にかんするご利益が多い神様じゃ
日本列島はイザナギとイザナミの子供
天の浮橋という地上と天をつなぐ道から、天沼矛(あめのぬぼこ)という槍みたいな武具で何もない地上をかき混ぜました。
すると、オノゴロ島という陸地ができてイザナミとイザナギは、そこに降りたったのです。
オノゴロ島に降りたったイザナギとイザナミは、お互いの体を見て驚きました。
男のイザナギには出ているところがあり、女のイザナミには穴があいていたからです。
イザナミ「あなたの出ているところで、私の穴をふさいでください」
このように女性のイザナミから誘いましたが、何に誘ったのかというと性交渉です。
こうしてイザナギとイザナミは結ばれて夫婦になります(昔の日本では、肉体関係を結んだ時点で夫婦の関係となりました)
ところが、産まれてきた赤ちゃんは骨がない、ブヨブヨした子供だったのです。イザナギとイザナミは、この子供を小舟を作って海に流してしまいました。
海に流しちゃったんですか⁉ かわいそうな話です。
しかし、この子は後に陸にたどりついて、七福神の恵比寿天になるのじゃ
イザナギとイザナミはどうすれば、立派な子供が生まれるのか天の世界にいる神様に聞きました。
天の神「エロいことは、男から誘いなさい」
このように俗っぽい答えが返ってきました。
イザナギ「私の出ているところで、あなたの穴を塞ぎたい」
言われた通り男性の方から女性を誘うと、イザナミは北海道と沖縄以外の日本列島を産みました。
こうしてイザナギとイザナミによる国生みは達成されるのです。
なんで沖縄と北海道は含まれていないんですか?
実は北海道と沖縄が日本になったのは明治時代に入ってからで、それまではずっと別の国だったんじゃ。だから、日本神話に沖縄と北海道は含まれていないんじゃ
北海道と沖縄はずっと日本だと思っていたけど、日本になったのは最近だったんですね!
イザナギとイザナミの死別
国を産んだイザナギとイザナミは、木の神や風の神、山の神など、さまざな自然の神様を産んでいきました。
こうしてイザナギとイザナミはなにもなかった地上を、自然豊かな場所に変えていったのです。
ところが、イザナミに悲劇が襲います。
火の神である火之迦具土神(ヒノカグツチ)を産んだ時、あまりにも熱すぎてイザナギは大きな火傷を負ってしまいます。
火傷がひど過ぎてイザナミは死んでしまいました。
イザナギ「なぜだ!? こんな赤ん坊に私の妻が殺されなければならない」
イザナギは悲しみのあまり、ヒノカグヅチを剣で切り殺してしまいました
妻が亡くなってショックなのはわかりますが、我が子に手をかけるなんて……
それだけ妻を愛していたということじゃ。ちなみにヒノカグヅチの遺体から色々な神様が生まれるんじゃ。一番有名なのは国譲りで活躍する建御雷神(タケミカヅチノカミ)じゃな。
イザナギ、死者の国へ
イザナミを失ったイザナギは寂しさのあまり、死者の国である黄泉の国へイザナミを迎えにいくことにしました。
すると、現世と黄泉の国を隔てる大きな門が現れました。すると門の向こうからイザナミの声が聞こえてきました。
イザナミ「そこにいるのはイザナギですか?」
イザナギ「そうだ! お前を迎えに来たのだ!」
イザナミ「あなたの気持ちはうれしい。けれど、私は死者の世界の食べ物を食べてしまいました。もう、現世にはもどれません」
死者の国の世界の食べ物を食べるとどうなるんですか?
死者の国の食べ物を食べると、死者の国の住人なるということ意味しているんじゃ。つまり、死者の国の食べ物を食べたイザナミは完全な死者となったというわけじゃな
イザナギ「なんとかならないのか?」
イザナギは引き下がりませんでした
イザナミ「わかりました。こっちの世界の神々と話し合ってきます。私が戻ってくるまで、絶対にこっちに来ないでください。いいですか、絶対に死者の国に入ってきちゃダメですよ。いいですか、絶ッッッッッッ対に入ってこないでください」
こうして、イザナミはフラグを立てて黄泉の世界の奥に入っていきました。
案の定、待ちくたびれたイザナギは、約束を破り、門を開けて黄泉の国へ入っていったのです。
イザナギは黄泉の世界を進んでいきました。
すると、一番奥にいたのはゾンビのような姿をしたイザナミでした。
イザナギ「ぎゃああああああああああ!」
驚いたイザナギは一目散に逃げていきました。
イザナミ「約束を破ったうえに、私に恥をかかせて許せない! 八つ裂きにしてくれる!」
怒ったイザナミはイザナギを追いかけていきました。
日本で初めて離婚した夫婦になる
なんとかイザナミから逃げ切ったイザナギは現世に戻ってきますが、イザナミは現世まで追いかけてこようしていました。
そこでイザナギは、現世と黄泉の国をつなぐ道を大きな岩で塞いでしまいます。
イザナギは岩ごしにこう言いました。
イザナギ「お前とはもう離婚する!」
イザナミ「なんてひどい! なら私はあなたの国の人を毎日1000人殺してやる!」
イザナギ「ならば私は、毎日1500人の子供を産もう!」
こうして、日本では毎日1000人の人が死に、1500人の子供が誕生するという、生死の概念が生まれたのです。
天照大御神の誕生
死者の国で汚れを受けたイザナギは、禊(みそぎ)をして汚れを洗い流すことにしました。
こうして、イザナギは持ち物や服を脱ぎ捨てて、海へと入ります。
この時、イザナギが脱いだ服や持ち物、フンドシが神様に変わっていきました。
フンドシが神様に変わるなんて、日本神話って面白いですね!
それだけでなく、イザナギから出てきた汚れや、身を清めた海水までもが神様に変わっていきます。
神様に変わった海水というのが、住吉大社の御祭神である住吉三神じゃ
このように、イザナギ単体でも多くの神様を生みました。
最後にイザナギは顔を洗うことにしました。
左目を洗うと天照大御神(アマテラスオオミカミ)が産まれました。
右目を洗うと月読神(ツキヨミノカミ)が産まれました。
鼻を洗うと須佐之男神(スサノオノカミ)が産まれました。
イザナギ「おお! なんと素晴らしい子供たちだろうか。アマテラス、お前は昼の世界をたのむ」
アマテラス「わかりました。お父様」
イザナギ「ツキヨミ、お前は夜の世界を見てくれ」
ツキヨミ「任せてください!」
イザナギ「スサノオは海の世界を支配するのだ」
スサノオ「なんで俺が⁉ イヤだね!」
アマテラスとツキヨミは素直にイザナギの言うことを聞いたそうですが、スサノオだけは言いつけを守らなかったと言われています。
イザナギ引退する
アマテラスとツキヨミは、イザナギの言うことを素直に聞いたので夜と昼の世界は安定しました。
ところが、わがままなスサノオは言うことを聞かずに「お母さんがいる黄泉の国へ行きたい」と言って、だだをこねていました。
イザナギは黄泉の世界がどんなところか知っているので、スサノオを行かせるわけにはいきません。
イザナギがなだめても、スサノオは泣きわめいてばかりいるので海の世界は安定せず荒れ狂いました。
イザナギ「お前は天の神失格だ! 地上に追放する!」
こうして、イザナギはスサノオを追放することにして、隠居することにしました。
神様でも隠居するんですね
日本の神様は人間臭いからのぉ。隠居先と言われる神社が日本にはあるんじゃ
イザナギの隠居先① 伊弉諾神宮
イザナギが隠居したと言われているのは、兵庫県淡路市多賀にある伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)という場所です。
古事記には「イザナギは多賀の地にいるよ」と書かれているので、イザナギの隠居さきとして、この神社ができたと言われています。
イザナギの隠居先ということで長くイザナギのみ祭らていましたが、昭和になると妻であるイザナミも一緒に祭られるようになりました。
神代のころに別れてしまったイザナギとイザナミですが、現代になってようやく再会できたのかもしれませんね
イザナギの隠居先➁ 多賀大社
イザナギが隠居したと言われる多賀の地は滋賀県多賀町にもあります。
この場所にもイザナギが隠居したと言われる多賀大社という神社があります。
こちらの神社でもイザナギ、イザナミが一緒に祭られています。
以上が「イザナギとイザナミ」のお話でした。
日本列島や多くの神々の祖先となったイザナギとイザナミは、古事記の序盤では活躍する神様なので、神社好きとしては覚えておきたい神様ですね。