【わかりやすい神様のお話】~日本の最高神 天照大御神~
白狐先生、日本神話の最高神って天照大御神(あまてらすおおみかみ)なんですよね
そうじゃな。わしのボスの稲荷神様(宇迦御魂神)などの、日本の神様を総ているのは、伊勢神宮の御祭神である天照大御神じゃ
天照大御神ってどんな神様なんですか? 白狐先生教えてください
今回は日本の最高神である天照大御神のお話です。
言わずと知れた伊勢神宮の御祭神であり、太陽を司る神様です。
天照大御神がどんな神様でどのような神話があるのか、楽しく、わかりやすくお話していくので、ぜひ最後まで読んでください。
天照大御神のご利益
天皇陛下は皇居にある特別な神殿で、常に天照大御神に国家安泰を祈っておられるのじゃ
私たちが安心、安全に暮らせるのも、天照大御神と天皇のおかげかもしれませんね
天照大御神のご神格
- 日本の最高神
- 太陽神
- 皇祖神
- 総氏神
皇祖神というのは、天皇家のご先祖さまにあたる神様のことで、天照大御神の5代あとの子孫が、初代天皇である神武天皇となりました。
氏神というのは、特定の一族の守り神のことです(最近では、特定の地域の守り神のことを言うそうです)。
なので総氏神というのは全国の神様の中心という意味でありながら、日本人全員の守り神ということなのです。
天照大御神の神話
天照大御神様がどんな神様かわかったところで、神話を話していくのじゃ
どんな神話があるか、楽しみです
天照大御神の誕生
アマテラスの父にあたる伊邪那岐神(イザナギノカミ)は、妻である伊邪那美神(イザナギノカミ)と死別してしまいます。
イザナギは亡き妻を死者の国である、黄泉の国へ迎えにいくのですが……
黄泉の国いたイザナミはゾンビのような姿をしていて、それに驚いたイザナギは逃げ帰ります。
イザナギは死者の国で受けた汚れを洗い清めるために、海に入って禊(みそぎ)を行うことにしました。
そして、顔を洗った時、左目からアマテラスが、右目から月読神(ツキヨミノカミ)が、そして鼻から須佐之男神(スサノオノカミ)が生まれました。
イザナギ、イザナミに関してはこちらの記事を読んでください
アマテラスの子供たち
太陽の神であるアマテラスは昼の世界を
月の神様であるツキヨミは夜の世界を
そして、スサノオは海の世界を、それぞれイザナギから任されましたが……
スサノオは「お母さんに会いたい」と言って、駄々をこねていました。なので、海の世界は安定せず、荒れ狂っていました。
イザナギ「お前は、天津神(天の神)失格だ! 地上に追放する!」
父の怒りを買ったスサノオは、地上へ追放されることになりました。
こうして、地上へ追放されることになったスサノオでしたが、姉のアマテラスのことろにあいさつしに行くことにしましたが、アマテラスは「スサノオが攻めてきたわ!」と勘違いします。
アマテラスは武装してスサノオを迎え撃つことにしました。
スサノオ「姉ちゃん! 俺は悪いことなんて考えてないよ! 誓約(うけい)で俺の身の潔白を証明する」
誓約(うけい)って、なんですか?
占いの良し悪しで、勝負するようなものじゃな
スサノオは剣を差し出すと、アマテラスはそれを嚙み砕き息を吹きかけました。
すると、三柱の美しい女神が誕生しました。この女神が宗像大社で祭られている宗像三女神です。
アマテラスは持っていた勾玉を差し出しました。そして、スサノオがそれを噛み砕き息を吹きかけると、五柱のイケメンの神様が誕生します。
- 長男 天之忍穂耳神(アメノオシホミミノカミ)
- 次男 天之菩卑能神(アメノホヒノカミ)
- 三男 天津彦根神(アマツヒコネノカミ)
- 四男 粋津日根子神(イクツネヒコネノカミ)
- 五男 熊野久須彦毘神(クマノクスビノカミ)
五男三女の神々は、アマテラスとスサノオから生まれした。なので、スサノオはアマテラスの誓約上の配偶者となっています。
天照大御神と須佐之男神は兄弟ですよね! なのに、配偶者なんですか?
配偶者といっても、あくまで誓約上というだけで、肉体関係を結んだわけではない。それに、天照大御神は独身の神様じゃ
勝敗は決まらず……
アマテラスとスサノオは、細かいルールを決めずに誓約をはじめてしまいました。
どういうことかというと、子供の数が多ければ勝ちなのか? それともどちらの性別が生まれた方が勝ちなのか……勝負の判定を決めずに、誓約をはじめてしまったのです。
アマテラス「私の子供はイケメンだし、数が多いから私の勝ち!」
スサノオ「いやいや、俺の子供の方が、美人だし性格もいいから、俺の勝ち!」
こんな感じで、お互いゆずらず勝負は曖昧な形で終わってしまいました。
世界が闇に包まれた岩戸隠れ
ただあいさつしにきただけなのに、姉に疑われたり、誓約は曖昧に終わったりして、スサノオはムシャクシャしていました。
そして、スサノオは神々が住む世界である、高天原で暴れまわります。
スサノオの蛮行に気を病んでしまったアマテラスは、天の岩戸という洞窟に引きこもってしまいました。
しかも、入口を大きな岩で閉じてしまいます。
太陽を司るアマテラスが隠れてしまったので、世界から太陽の光が消えて闇に包まれてしまいます。
知恵の神である思兼神(オモイカネノカミ)は「岩戸の前で祭りをして、アマテラス様の気を引こう」と考えます。
そして、踊り子の神である天宇受売神(アメノウズメノカミ)と、力の神である手力神(タジカラノカミ)を連れてきました。
そして、アメノウズメが踊り、岩戸の前で賑やかにしました。
すると、外の騒がしさが気になったアマテラスが、岩戸の前の岩を少しだけ開けました。
アメノウズメが言った「すごい神様」というのは、八咫鏡に映し出されたアマテラス自身の姿でした。
アマテラス「もう少し、よく見たい」
そう思ったアマテラスが大きく岩を動かした時、タジカラが岩をぶん投げて、アマテラスを外に連れ出したのです。
こうして、世界は太陽の光を取り戻しました。一方で、今回の岩戸隠れという事件の責任を取らせるために、スサノオは地上に完全に追放となりました。
天照大御神の国譲り
地上に追放となったスサノオがヤマタノオロチを倒し、その体内から草薙の剣を発見しました。
今までの無礼を詫びるために、スサノオはアマテラスに草薙の剣を献上します。
こうして、八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙の剣からなる三種の神器が誕生します。
三種の神器に関してはこちらの記事を読んでください
スサノオの子孫から大国主神(オオクニヌシノカミ)が現れ、日本最初の支配者となりました。
しかし地上は争いが多く、それを天から見ていたアマテラスは「自分の息子の方が支配者に相応しい」と考えます。
そこで、長男の天之忍穂耳神(アメノオシホミミノカミ)を地上に送りましたが……
「天津神の支配に反対!」
「地上はオオクニヌシ様のものだ!」
こんな感じで地上の神々によるデモ活動が起きていました。それを見たアメノオシホノミミは……
アメノオシホノミミ「地上やべぇ!」
怖がって逃げ帰りました。
そこでアマテラスは次男の)天之菩卑能神(アメノホヒノカミ。次に天若日子神(アメノワカヒコノカミ)を、送り込みました。
しかし、オオクニヌシは世渡り上手で、宴会でもてなしたり、美女に誘惑させて色仕掛けをしかけたりしました。
争うのではなく、懐柔してことをウヤムヤにしていったのです。
全然、ことが進まないので、アマテラスは剣と雷を司る最強の武神である建御雷神(タケミカヅチノカミ)を送り込みました。
タケミカヅチはものすごく強くて、武力でオオクニヌシを迫りました。
オオクニヌシはこれ以上、争っても無意味だと悟り、自分の隠居先である出雲大社を造ることを引き換えに、国をアマテラスに譲りました。
こうして、国譲りは達成されるのです。
アマテラスの孫が地上に降りることになる
こうして、地上はアマテラスのものになりました。そして、長男であるアメノオシホノミミを地上に送ろうとするのですが、本人はなぜか渋ります。
アメノオシホノミミ「言ってなかったんですが、実はお母さんが国譲りで忙しそうにしている間に子供ができまして」
なんと、アマテラスは本人が知らない間に、おばあちゃんになっていたのです。
アメノオシホノミミ「名前は邇邇芸(ニニギ)と言います。私の息子に行かせましょう」
アマテラス「それもそうね」
こうして、天照大御神の孫である邇邇芸神が地上の支配者として、降臨することになったので、日本神話では天孫降臨(てんそんこうりん)と言われています。
ニニギは三種の神器を持ち、宮崎県の高千穂峡に降りたったと言われています。
そして、ニニギから4代後の子孫に誕生したのが、初代天皇となる神武天皇です。
天照大御神を祭る神社
伊勢神宮
三種の神器の一つである八咫鏡にはアマテラスの力が宿っていると言われいます。
神武天皇は大和(奈良県)で即位し、後の皇室となる大和朝廷を立ち上げました。
要するに昔の日本の首都は東京じゃなくて、奈良県だったんですね
最初は皇居で八咫鏡を祭っていたのですが、10代目天皇である崇神天皇(すじんてんのう)は、「すぐ近くに八咫鏡あることは恐れ多いことだ」と思いました。
そこで、娘の豊鋤入姫命(とよすけいりひめのみこと)に、八咫鏡の移動を命令します。
各地を転々とするも、なかなかいい場所が決まりませんでした。時は流れて、八咫鏡は倭姫命(やまとひめのみこと)に引き継がれます。
そして、倭姫が三重県にある五十鈴川まで来た時……
アマテラス「ここが気に入ったわ」
という神託があり、この五十鈴川のほとりに八咫鏡が鎮座することになりました。
こうして、三重県に日本一の神社である伊勢神宮ができるのです。
東京大神宮
東京大神宮は「東京のお伊勢さん」として知られています。
創立は比較的新しく1880年(明治13年)で、大隈重信の邸宅跡に建てられました。
御祭神も伊勢神宮と同じく内宮の天照大御神と、外宮の豊受大神(トヨウケノオオカミ)が祭られており、伊勢神宮の遥拝所(ようはいじょ)として建設されました。
遥拝殿ってなんですか?
遠く離れたところからでも、特定の神様を拝むために造られた場所のことじゃ
交通機関が発達した現代なら、東京から三重まで行くのは簡単になりましたが、交通インフラが未発達な明治時代は、東京から伊勢神宮に行くのは難しかったです。
そこで、遥拝所である東京大神宮が建てられたのですね。
以上が日本神話の最高神、天照大御神のお話でした。後日、伊勢神宮に関してはより詳しくお話したいと思います。